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【ドラフィル!―竜ヶ坂商店街オーケストラの英雄】夢を手放しかけた青年の覚醒

ドラフィル!―竜ヶ坂商店街オーケストラの英雄(美奈川護)

 藤間響介の音楽を変えたのは、十年前のフォルテの重音だ。東亜音楽コンクールヴァイオリン部門本選で聴いた、ブラームスのヴァイオリン協奏曲ニ長調第三楽章、樋山ゆかりという3歳ほど年上の少女が響かせた、規格外の音に、音楽の可能性を見せつけられたのだ。だが現実は、帝真音大ヴァイオリン学科を卒業しても、藤間響介にプロオケの就職先はなく、これまで多大な援助をしてきた父親にも見限られてしまった。




書評


評価:☆☆☆☆☆

 藤間響介の音楽を変えたのは、十年前のフォルテの重音だ。東亜音楽コンクールヴァイオリン部門本選で聴いた、ブラームスのヴァイオリン協奏曲ニ長調第三楽章、樋山ゆかりという3歳ほど年上の少女が響かせた、規格外の音に、音楽の可能性を見せつけられたのだ。だが現実は、帝真音大ヴァイオリン学科を卒業しても、藤間響介にプロオケの就職先はなく、これまで多大な援助をしてきた父親にも見限られてしまった。
 そんな彼のもとに、叔父で楽器商の藤間薫から、竜ヶ坂商店街フィルハーモニーというアマオケがコンマスを募集しているという話を持ってくる。公民館というバイト先もセットになっており、行くあてもない響介は、叔父から借り受けている愛器のカルロ・ランドルフィと共に、その寂れた町へと向かった。

 そんな彼を迎えたのは、一之瀬七緒という、車椅子の女性だった。車椅子とは思えないとてつもない行動力を見せつける彼女は、響介のコンマス就任試験だと言い、とある課題を出す。実は常任指揮者である彼女の、指揮者としての天才的な才能を見せつけられた響介は、竜ヶ坂商店街の人々との交流を通じ、彼女のタクトにぶつける自分の音楽を見つけ出していくのだが…。
 トランペットの首席奏者である81歳の増田源次郎と孫の吹子の確執、和菓子屋の未亡人・畑山彩花が抱える息子・和樹に対する不安、元コンミスの野村美咲が父親に抱く心残り。そんな様々な気持ちのズレを、七緒に導かれるように、響介は音楽を使って調律していく。そしてその果てに、ドラフィルを創設した城英音大の元学生にまつわる音楽の呪いを解く役を担うことになる。

 子どもの頃から音楽一筋に打ち込んできたにも拘わらず、才能がないことで音楽の道に残れなかったと思っている青年と、突然の事故でそれまでの音楽の道を奪われたにも拘わらず、折れずに自分の音楽を貫こうとする女性の出会いと成長を描く物語だ。
 才能というのは確かに存在するけれど、それが左右する領域まで人と引き上げるのは、ただひたすらに努力し続けられることだと思う。そのことに気づいて実行できるならば、大概のことは成し遂げられると思うのだ。…もちろん、それでは届かない領域というのも確かにあるとは思うけどね。

 本書は四章構成になっているのだが、各章の構成が巧みになされていると思う。そしてそれを一つ一つ積み上げていくと、全体を解き明かす構成になっているのだ。尤も、全体の方は各章の構成に比べれば、少し劣る気もするけれど。
 音に魅了され、音に縛られ、音に傷つけられ、それでも音を手放すことが出来ない人々を、音の聞こえない文字で上手く表現している気がする。まあ、登場する曲を知っている方がより伝わりやすいとは思うので、どこかで聴いてみるのも良いだろう。


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